特製色紙「犬」
・押井守
・平成13年10月8日
・東京ビッグサイト
・500円だったと思う(先着100名)
押井守監督は、主にアニメ作品でコアな人気を持つ監督ですが、アニメのみならず実写映画の制作やゲーム、アニメの原作など、幅広く活躍しているクリエイターです。東京学芸大学教育学部美術教育科卒業後、タツノコプロダクションに入社。その後スタジオぴえろを経て、フリーの演出家として独立。「うる星やつら」「機動警察パトレイバー」などのヒット作を手がけ、人気監督になります。平成7年(1995年)に公開された「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」は世界各地で公開され、アメリカではビルボード誌のビデオ売上チャートの1位になり、一躍世界的に脚光を浴びまた。平成13年(2001年)には実写映画「アヴァロン」が、第54回カンヌ映画祭の特別招待作品(審査対象外)として上映されました。代表作は映画「うる星やつら オンリー・ユー」「うる星やつら ビューティフル・ドリーマー」「機動警察パトレイバー」「攻殻機動隊」など。
このお宝は、ミリタリー系イベント「G.A.M.S.Market−2(ガムズマーケット2)」で行われたサイン会でGETしました。この日は、「ガムズマーケット」の隣で、トイ系のイベント「スーパーフェスティバル」もやっていて、アングラ漫画家&イラストレーターの丸尾末広先生を始め、映画「スターウォーズ」のR2−D2役のケニーベイカー氏、そして当時(平成13年)放送していた「仮面ライダーアギト」で「仮面ライダーG3−X」に変身する「氷川誠」役の要潤さんなど、あちこちでいろんな人のサイン会が行われていました。
押井監督のサイン会は開場前有料で先着100名に整理券を配布され、サイン会自体は10時45分から行われる予定でした。どのサイン会より早く行われるので、効率よくまわるため、先に押井監督のサイン会整理券をもらいに行きました。でも、高い評価を獲ている割には、あまり捌けていません、と言うより全然捌けていませんでした。最初の予定よりサイン会の開始が30分遅れることになりましたが、あまりの整理券の捌けが悪いから、ワザと遅らせたんじゃないかと思うぐらいでした。実際、「スーパーフェスティバル」の方がお客さんがいっぱい入っていて、それに較べると「ガムズマーケット」は閑散としていました。
あまりの人の少なさに、一体どうなるかと思いましたが、サイン会開始時間になり、押井監督が現れると、当然と言えば当然ですが、整理券は100枚全部捌けましたました。
サイン会自体の様子は、お客さんの少ないこともあって、結構まったりしたものでした。押井監督はアニメーターから演出家になったのではなく、純粋に演出家としてアニメの世界に入った人ですから、絵が描けません。それでも色紙に、ある種トレードマークと言う訳でもないですが、「犬」の絵を描いていました(犬には見えないって? 元々絵描きじゃないからしょうがないでしょう)。サインは絵の下にある「押」の字を崩したもので、「サイン」というより、「花押(かおう)」に近いと思います。
参加した人は大抵タメ書きを書いて貰っていましたが、私はタメ書きが嫌いなので、私の番の時、
「タメ書きの変わりに、でっかく『犬』と書いて下さい」
と、お願いしました。
『犬』は、ただ押井守監督が大の犬好きという以上に、とても重要な意味を持っています。『犬』とは、信じる主義、思想、時に信じる人間を「主人」とし、自分の主体性を抑えてそれに忠実に従う人間を意味します。押井作品には、自分を押し殺して理念を盲信する「飼い犬」が、時代や状況の移り変わりに対応できずに、「主人」に裏切られて「捨て犬」になって自滅するか、「野犬」として社会に牙を剥くキャラクターがよく登場します。特に、架空の高度成長期の日本を舞台に、武装闘争を繰り広げる左翼組織と戦った首都圏治安警察機構・通称「ケルベロス(地獄の番犬のこと)」が出てくる話は、そんな「犬」たちの物語です。なぜ『犬』の概念に押井監督がこだわるのは、多感な17歳の時、羽田闘争をきっかけに学生運動に参加して、信じて疑わなかった社会主義革命が無惨に「挫折」し、監督自身「捨て犬」なったことに帰因すると言われています。
監督本人も、作品中さんざん『犬』を出していますが、ある意味精神的「鬼門」に当たる言葉なので、書いてくれるかどうか、心配しました。
しかし、押井監督は、ちょっとニヤリと笑うと、希望通り大きく「犬」と書いてくれた上に、頼んでないのに囲いまで書いてくれました。
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